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2021年08月30日

コラム

『BIT BY BIT』第4章「実験を行う」 ~デジタル時代の実験~

主任研究員 清水啓玄

マシュー・J.サルガニック著の『BIT BY BIT デジタル社会調査入門』はデジタル時代における実験や分析の可能性について縦横に論じており、今後の方向性を考える上で示唆に富んでいます。そのなかの第4章「実験を行う」を見てみましょう。

ここで扱われている実験とは、「自然実験」と呼ばれるものであり、ランダムな(またはランダムであるかのような)ばらつき(variation)を持ち、さらにリアルタイムのデータを扱う実験と定義されています。そのほか本章では、従来の分類である「ラボ実験/フィールド実験」という第1軸と新たにデジタル時代が到来したことによる「アナログな実験/デジタルな実験」という第2軸をもって区別する必要性が示されています。
身近にあるPCのみを用いて行う「完全にデジタルな実験」では、被験者を募集し、ランダム化し、処置を行い、結果を測定するという一連の流れをすべてオンラインで行います。これは、実験経済学の流れで従来から行われていたものです。
一方、近年、デジタル機器やSNS(Twitter、Facebookなど)の利用が身近になったことにより、データ入手の面で大きな変化がみられるようになりました。まず、長期間のタイムスケールでのデータが得られるようになり、その規模も数百から数百万に拡大できるなど、アナログな実験での制約が取り払われるメリットが指摘されています。

本書では、デジタルな実験のデザインの仕方や倫理面についても触れられており、非常に参考になります。

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