【目的と方法】
本調査は、新たに児童福祉施設として位置づけられる里親支援センターの設備運営基準・第三者評価基準の策定や児童相談所運営指針・里親委託ガイドライン等関連通知の改正につなげていくための基礎的なデータ収集や基準策定の考え方、留意点等について検討することを目的として実施した。
本調査では、自治体からフォスタリング事業を受託している民間機関、並びに自治体を対象として悉皆でのアンケート調査を実施し、全国の民間機関で実施されているフォスタリング事業の実態を定量的に把握するとともに、フォスタリング事業を包括的に実施している民間機関並びに児童相談所を対象としてヒアリング調査を実施し、フォスタリング事業を実施する上での課題等について聞き取りを行った。さらに、里親支援センターの第三者評価基準を検討する上での先進国の事例として、イギリス(イングランド)における里親支援機関の第三者評価の調査と情報整理を行った。アンケート調査では民間機関は90機関、自治体は74自治体中61自治体(回答率82.4%)から回答を得た。ヒアリング調査では民間機関7機関、児童相談所2機関を対象とした。
【結果と考察】
アンケート調査では、令和3年度におけるフォスタリング事業の実態について、民間機関での平均支援数としては養育里親に次いで養子縁組里親が多いこと、ほとんどの民間機関が現自治体で既に里親だった方も支援の対象としていること、民間機関に配置されている職員として里親リクルーター、里親トレーナー、里親等委託調整員、里親等相談支援員は全国的に平均1名は配置されていること、民間機関から支援対象者までの最大の片道所要時間は60~90分以上かかるケースが多いが、理想と考える最大片道所要時間は30~60分未満とずれがあること等が特徴的な結果として見られた。ヒアリング調査では、包括的な委託までに数年の準備期間を経ている例が見られたほか、配置する職員の要件としては現行の資格要件の他に里親支援業務に関する経験のある人材を幅広く配置できる仕組みがあるとよいということ、里親支援業務の中心が里親支援センターに移る場合であっても、児童相談所とセンターがそれぞれの強みや役割を持って連携しながら進めていく必要があること等が特徴的な結果として見られた。またイギリス(イングランド)における里親支援機関の第三者評価の調査では、専門的な監査機関が子どものケア及び教育に関わるサービス全般に関して共通の評価基準を用いて組織的に監査する体制が整備されていること、里親支援機関として遵守すべき法令と最低基準・法定指針が整備されており、監査報告書の中ではそれらを参照しながら不足している取組やサービス向上のために必要な取組等が具体的に提案される形になっていること等が確認された。
上記の調査結果を踏まえ、有識者による検討委員会での議論を元に、里親支援センターの設備運営基準の方針の検討や基準策定にあたり考慮すべき点の整理、及び我が国における里親支援センターの第三者評価基準策定にあたっての論点整理を行った。
特別養子縁組成立後の支援のあり方に関する調査研究
【目的と方法】
本調査研究では、特別養子縁組成立後の支援について、児童相談所および民間あっせん機関を対象とするアンケートおよびヒアリング調査を行うことにより、実態や実例、課題を把握し、支援のあり方を検討することを目的とした。また、当事者にとって必要な支援を把握するための当事者対象のヒアリング調査、および、国内における取組の参考とするための海外(英国)機関対象のヒアリング調査を実施した。
【結果と考察】
少子化総合対策に関する総合研究事業
【目的と方法】
少子化対策に関する課題についての認識の下、その課題解決に資する取組等を把握するため、本調査研究では、アンケート調査、国内好事例調査及びインタビュー調査、海外好事例調査、有識者ヒアリングを行った。
アンケート調査は、夫婦が持つ子どもの数が、自治体や企業の施策を中心にどのようなものに左右されるかを分析するために行った。その調査は、全国の20歳から49歳の既婚女性2,000名を対象に、WEBアンケートの形で実施し、本人と配偶者の勤務先における子育て支援制度、及び居住する自治体における子育て支援策と、実際の子ども数、理想子ども数等を尋ねた。
国内好事例調査においては、新しいコンセプトや考え方に基づいて行われている地域に根ざした取り組みをインタビュー調査により取りまとめた。より具体的には、主に地方自治体単位で行われており、国として展開させていくことが少子化対策として有効と思われる事例を対象とした。一部の事例については自治体のデータから出生率の向上が確認できたものを対象に実施した。
海外好事例調査においては、国内にて先行研究が少ないロシアの制度について、主に母親資本制度を中心にロシア語の文献も含めて調査し、それとフランス、スウェーデン等と比較し、ロシアの制度の特徴を考察した。
【結果と考察】
アンケートの実施・分析の結果、子どもの数を決定するうえで重要な要素として、以下のことが明らかとなった。
国内の事例調査においては、子育て中の人たちに交流・憩いの場を提供する取り組みの有効性が見られた一方、そういった取り組みの認知度が十分でないなどの課題も捉えられた。また、企業の時短勤務の設定なども子育ての助けとなるが、一律の適用ではなく、働く人の多様な状況に応じられるようにすることが重要と見られた。
海外の事例調査においては、出産・育児に係る給付と休暇の制度について、具体的な金額や期間について把握した。その中でも、特に大きな金額の給付等となるロシアの母親資本に関する有識者の見解において、肯定的なところでは人口減少の抑止に貢献していると評価されている一方、否定的なところでは母親資本により出産が促されるのは貧困層であり、母親が働けなくなる期間の賃金をカバーできるほどのものではないと評価されていた。
放課後児童クラブのニーズ把握に関する調査研究
【目的と方法】
本調査研究では、放課後児童クラブの利用状況やニーズに影響を及ぼす要因について実態調査を行い、地域における正確なニーズを把握するための方法について検討するため、小学生児童のいる世帯を対象とするサービスの利用状況や利用への意思、世帯の状況等に関するネットアンケート調査(調査1)、および市区町村を対象とするサービスの実施状況や実施上の課題等に関する郵送によるアンケート調査(調査2)を行った。
結果、調査1では、1,519世帯から回答を得た。また、調査2では、1,021市区町村中647市区町村から回答を得た(回収率63.4%)。
【結果と考察】
保護者支援プログラムの充実に関する調査研究報告書
本マニュアルでは、児童相談所において保護者支援プログラム(※)を実施する際のポイントについて、実際のケースワークのプロセスに沿って示しました(下図参照)。
利用対象者としては、児童相談所の職員、特に、現場で新たに保護者支援に携わるスタッフの研修等に用いることを想定し、具体的な事例を示しながら、保護者支援プログラムの実施の流れや、各プロセスにおいて確認すべきポイントを明示しました。
※本マニュアルにおける「保護者支援プログラム」は「ペアレントトレーニング」を主に指しますが、家庭環境調整などのプログラムも含めています。
児童相談所において保護者支援プログラムを効果的に実施するためには、プログラムの実施の前に、保護者との関係づくりや適切なアセスメント等が必要です。以下では、児童相談所におけるケースワークのプロセスを示します。
ケースワークの各プロセスにおけるチェック項目(効果的なプログラム実施に向けた具体的な取り組み)の例を、以下に示します。